「サーモスのフライパンって、体に悪い物質は使ってないの?」
「フッ素加工って安全なの?」
毎日使うフライパンだからこそ、安全性は気になりますよね。
ネットで調べると「フッ素加工は危険」「有害物質が……」といった情報も出てきて、余計に不安になってしまう方も少なくありません。
この記事では、キッチン用品専門店で12年以上勤務し、数多くのフライパンを販売してきた筆者が、サーモスフライパンの安全性について正直に解説します。
フッ素加工が不安視される背景や、安全に長く使うコツ、向いている人・向いていない人まで、販売現場のリアルな経験をもとにお伝えしていきます。
※記載の情報は2026年3月時点のものです。

サーモスフライパンの安全性|結論から言うと?

まず結論からお伝えすると、サーモスのフライパンは、正しい使い方をすれば安全に使用できるフライパンです。

何がどう安全なの?
とはいえ、詳細がわからないままだとモヤモヤしますよね。
ひとつずつ見ていきましょう。
体に害のある物質は使われている?PFOA・PFOSは不使用
サーモスのフライパンには、人体や環境への悪影響が指摘されている「PFOA(ピーフォア)」「PFOS(ピーフォス)」という化学物質は一切使用されていません。
農林水産省では、PFOA・PFOSに関して以下のように記されています。
PFASの中でも、PFOS及びPFOAは、かつて幅広い用途で使用されてきました。
農林水産省「食品中のPFASに関するQ&A」
具体的には、PFOS については、半導体用反射防止剤・レジスト(保護膜)、金属メッキ処理剤、泡消火薬剤などに、PFOA については、フッ素ポリマー加工助剤、界面活性剤などに主に使われてきました。
環境中で分解されにくく、体内に蓄積する可能性があることから、現在では日本を含む多くの国で使用が規制されています。
サーモスは2024年2月発売のフライパンから、パッケージに「PFOA/PFOS不使用」のマークを掲載しています。
それ以前に発売された製品についてもすべて不使用であることを、公式の品質ページで説明しています。
2024年2月発売のフライパンより、対象となる製品のパッケージ上にPFOA/PFOS不使用の表示が掲載されました。それ以前に発売の製品につきましてもすべてPFOA/PFOSを使用しておりませんが、より分かりやすく安心してご使用いただけるよう、PFOA/PFOS不使用マークのあるパッケージに順次切り替えます。
引用元:サーモス公式サイト「お客様の声をかたちに」
また、HPや当社オンラインショップの製品ページにもPFOA/PFOS不使用のマークを掲載しています。



体に害のあるものが入っているんじゃないか……
このような心配については、この点でまずひとつ安心材料になりますね。
使われているフッ素コーティングは安全なの?
サーモスのフライパンのコーティングには、フッ素樹脂が使われています。
フッ素樹脂は、食品が接触する調理器具のコーティング素材として広く使用されている樹脂です。
化学的に非常に安定しており、通常の調理温度(180℃前後)では分解されないとされています。
ただし、約350℃を超える高温になると分解が始まり、有害なガスを発生させる可能性があります。
ここで気になるのが「普通に料理していて350℃になることはあるの?」という点ですよね。
一般的な家庭の調理では、中火以下で使っていれば200℃前後に収まることがほとんどです。
350℃に達するのは、空焚き(何も入れずに火にかけ続ける)をした場合や、強火(ガスの炎の先端が、鍋からはみ出すくらい)で長時間加熱し続けた場合です。
つまり、普通に料理をしている限りは、フッ素加工が分解するほどの温度にはまず達しません。
販売員として12年以上お客様に説明してきた実感
キッチン用品専門店で12年以上勤務するなかで、フライパンの安全性に関する質問はとても多くいただきました。
お客様からどのような質問が多かったか



フッ素コーティングは体に悪いって聞きました



安全性の高いフライパンってありますか?
このような質問をいただくことがとても多かったです。
安全性について、どのように説明していたか
フッ素加工自体は人体に悪影響があるものでないことや、ガスが発生するとされる高温は、日常的に使用する分では問題がないことを説明していました。
購入後に「体調が悪くなった」などのクレームはあったか
もちろんありません!
ただし、「すぐにこびりついてしまう」などのお問い合わせはいただいたことがあります。
※サーモスのフライパンに関してではありません。
販売員としての率直な実感
お客様の多くは“フライパンのコーティングが体に悪い”というイメージがついているようでした。
説明しても不安が残るお客様には、コーティングされていないフライパンをおすすめしています。
そもそもフッ素樹脂コーティングのフライパンはなぜ不安に思われるのか?


サーモスに限らず、フッ素加工のフライパン全般に対して「なんとなく不安」と感じている方は少なくありません。
この不安がどこから来ているのかを知っておくと、必要以上に怖がらなくて済むようになります。
PFOAとフッ素樹脂の混同が不安の原因になっている



フッ素加工のフライパンは体に悪い?
このような話が広まった背景には、2つの異なる物質が同じように捉えられている、という可能性があります。
PFOA
これはフッ素樹脂コーティングを製造する際に使われていた補助剤で、発がん性のリスクなどが指摘され、現在は規制されています。
PTFE
これはコーティングそのものの素材で、先ほど説明したとおり、通常の調理温度では安定していて問題ないとされている物質です。
つまり、かつて製造工程で使われていた有害な補助剤(PFOA)と現在もコーティングに使われている安全な素材(PTFE)が、一緒くたに語られてしまったことが、不安の大きな原因です。
サーモスのフライパンに関して言えば、PFOAはすでに使われておらず、コーティングに使われているPTFEは適切な温度で使用すれば安全性が確認されている素材です。
ペットの鳥がいる家庭での注意点
フッ素樹脂コーティングのフライパンに関して、もうひとつ知っておいて欲しいのが、鳥を飼っているご家庭での注意点です。
鳥類は呼吸器の構造上、フッ素樹脂が高温で分解された際に発生するガスに対して非常に敏感であるとされています。
人間には影響がないレベルでも、鳥にとっては致命的になり得るという報告があります。
鳥を飼っているご家庭では、以下の点を徹底してください。
- 空焚きを絶対にしない
- 調理中はキッチンの換気を十分に行う
- 鳥をキッチンから離れた場所に置く
不安が残る場合は、フッ素樹脂コーティングを使用していない鉄製やセラミック製のフライパンを選ぶのもひとつの方法です。
コーティングが剥がれたフライパンは危険?
結論から言うと、フッ素樹脂は体内で消化・吸収されず、そのまま排出されるとされています。
万が一小さな破片を口にしてしまっても、体内に蓄積されるものではないと考えられています。
ただし、だからといってコーティングが剥がれたフライパンをそのまま使い続けることはおすすめしません。
その理由は2つです。
- コーティングが剥がれた部分は食材がくっつきやすくなるため、つい強火にしてしまいがちです。強火での調理は、残っているコーティング部分のさらなる劣化を招きます。
- 剥がれた部分から金属が露出するため、そこから錆びが発生する可能性があること。
コーティングの剥がれが目立ってきたら、安全面・調理面の両方から考えて、買い替えのタイミングです。
サーモスのコーティング技術を販売員目線で解説!





安全なのはわかったけど、サーモスのコーティングって具体的にどうなの?
サーモスのフライパンには主に2種類のコーティングがあります。
それぞれの特徴を、販売員の経験を交えて解説しますね。
耐摩耗性が高く焦げ付きにくい・デュラブルコートとは?
サーモスフライパンの多くのモデルに採用されているのが「デュラブルコート」です。


これは、フッ素樹脂に硬質フィラーという硬い粒子を配合したコーティングで、一般的なフッ素加工よりも耐摩耗性が高いのが特長です。
アルミ基材の上に、プライマーコート・ミドルコート・トップコートの3層を重ねる構造になっていて、コーティングが長持ちしやすい設計になっています。
コーティングが長持ちするということは、剥がれによる不安が生じにくいということでもあります。
安全に使える期間が長いという意味で、安全性にも直結するポイントです。
プラズマ超硬質コート(KFCシリーズ)との違い
サーモスにはもうひとつ「プラズマ超硬質コート」を採用したKFCシリーズがあります。


こちらは、アルミ基材とフッ素コートの間にプラズマ加工層を設けています。
このプラズマ層はアルミの約10倍の硬さがあるとされていて、フッ素コートとアルミ基材を強力に密着させる役割を果たします。
簡単に言うと、コーティングがより剥がれにくいフライパンです。



できるだけ長く安全に使いたい!
販売現場では、フライパンのコーティングは消耗品であることをお伝えし、それでも長く使いたいというお客様には、KFCシリーズをおすすめしていました。
デュラブルコートとKFCシリーズをどのように使い分けて案内していたか
コーティングの寿命は、使い方によっても大きく左右されます。
長く使えるように取り扱いに注意が払える人はKFCシリーズを、
忙しくてそこまで手が回らない!という方にはデュラブルコートで寿命がきたら買い替えることをおすすめしていました。
価格差と耐久性のバランスについて、お客様にどう説明していたか
フライパン全体に言えることですが、価格が高い=コーティングの耐久性が高い、という訳ではありません。
価格は使用されている材質やIH対応か、ブランドによっても変わります。
ご自身が使う環境に合うものを選んでいただくよう、お伝えしていました。
サーモスフライパンを安全に長く使う5つのポイント!


ここからは、安全性を保ちながらフライパンを長持ちさせるための具体的なポイントを紹介します。
サーモス公式でも推奨されている内容に、販売員としての目線も加えてお伝えしますね。
① 中火以下で調理する(強火が必要な場面は実はほとんどない)
強火で調理を続けると、コーティングの劣化の原因になります。
また“強火”の認識違いにより「自分では中火だ」と思っていても、知らず知らずのうちに強火になっている可能性があります。


中火とは、左側の画像よりもさらに火が小さい状態を指します。
実際のところ、家庭料理で強火が本当に必要な場面はほとんどありません。
中火でも十分に美味しく仕上がりますし、サーモスのフライパンはアルミ合金で熱伝導が良いので、中火でもしっかり加熱できます。
② 空焚きをしない
空焚き(何も入れない状態で火にかけること)は絶対にNGです。
フライパンに何も入っていない状態で加熱すると、表面温度が短時間で300℃以上に達することがあります。
これはフッ素樹脂が分解し始める温度に近く、コーティングの劣化や有害ガスの発生リスクにつながります。
③ 金属製のキッチンツールを使わない
ステンレス製のフライ返しやトング、金属製の菜箸などは、コーティングを傷つける原因になります。
サーモスのコーティングは耐摩耗性が高いとはいえ、尖った金属で直接こすればどうしても傷がつきます。
傷がつけばそこからコーティングが剥がれやすくなり、安全に使える期間が短くなってしまいます。
おすすめのキッチンツール素材は、シリコーン製・ナイロン製です。
④ 調理後すぐに冷水をかけない
熱々のフライパンを冷ますために、調理後すぐに冷水をかけるのはNGです。
急激な温度変化は、コーティングにとってかなりダメージが大きくなります。
フライパン本体が変形したり、コーティングと基材の間に隙間ができて剥がれやすくなったりします。
洗うときは、触れられる状態にまで冷まし、柔らかいスポンジに中性洗剤をつけて洗うのが鉄則です。
⑤ 買い替えのサインを見逃さない
どれだけ丁寧に使っていても、コーティングには寿命があります。
一般的には1〜1年半程度とされていますが、使用頻度やお手入れ方法によって前後します。
以下のような状態が見られたら、買い替えを検討するタイミングです。
- 一部が剥がれている
- 食材が焦げつきやすくなった
- 表面に細かい傷やザラつきが目立つ
- コーティングの色が変わってきた(変色・まだら模様)
販売現場でお伝えしていた具体的な目安



油をひいているのにこびりつく
見た目に変化がなくても、油をひいてもこびりつくならそれは寿命のサインです。
「もったいない」と思わず、早めの買い替えをしてくださいね。
サーモスフライパンはこんな人に向いている/向いていない


ここまで安全性を中心に解説してきましたが、最終的に自分に合うかどうかが一番大事なポイントです。
サーモスフライパンが向いている人・向いていない人を正直にお伝えします。
向いている人
サーモスのフライパンが向いているのは、このような人です。
- 軽いフライパンがいい人
- コスパのいいフライパンを探している人
- 取っ手が取れるタイプで収納スペースを節約したい人
軽いフライパンがいい人
サーモスのフライパンはアルミニウム合金を使用しているため、鉄フライパンやステンレスのみのフライパンに比べてかなり軽いです。
特に手首や腕への負担が気になる方には、この軽さはメリットです。
コスパのいいフライパンを探している人
料理を毎日する訳ではないし、あまりお金をかけたくない。かと言って100均やホームセンターでは安全性に不安がある。
このような人にサーモスはピッタリです。
サーモスには長年、ステンレス魔法瓶やランチグッズを開発してきたノウハウがあり、フライパンにもその技術が応用されています。
手頃な価格で使いやすいフライパンと言えます。
取っ手が取れるタイプで収納スペースを節約したい人
サーモスの取っ手のとれるシリーズは、フライパンを重ねて収納できるため、限られたキッチンスペースを有効に使えます。一人暮らしのコンパクトなキッチンでも活躍します。
向いていない人
一方でサーモスのフライパンが向いていないのは、このような人です。
- デザインに強いこだわりがある人
- ひとつのフライパンを10年以上使いたい人
- 強火でガンガン炒めたい・中華料理が多い人
- フッ素樹脂コーティングそのものを避けたい人
デザインに強いこだわりがある人
サーモスのフライパンのカラーバリエーションはそれほど多くありません。
ネイビーや赤といった落ち着いた色合いが中心です。
キッチンを華やかにしたい、飾っておきたい、などデザインに強いこだわりのある人にはやや不向きでしょう。
ひとつのフライパンを10年以上使いたい人
フッ素樹脂コーティングは消耗品なので、寿命があります。
ひとつのものを10年以上使い続けたい、という人にはおすすめできません。
強火でガンガン炒めたい・中華料理が多い人
フッ素樹脂コーティングのフライパンは中火以下での使用が前提です。
高温での炒め調理が多い方は、強火に強い鉄製の中華鍋やフライパンのほうが用途に合っています。
フッ素樹脂コーティングそのものを避けたい人
小さなお子さんがいる家庭や、ペットで鳥を飼っている方などは、フッ素樹脂コーティングそのものを避けたいと考える人も少なくありません。
その場合は、フッ素を一切使わない鉄やセラミック、ステンレスのフライパンが選択肢になります。
フッ素樹脂を使いたくない人の代替選択肢は?
フッ素加工に不安が残る方のために、代替となるフライパンの種類を簡潔にまとめておきます。
| 種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 鉄フライパン | コーティングなし/鉄素材 | ・高温調理に強い ・長寿命 ・使い込むほど油馴染みが良くなる ・鉄分が摂れる | ・重い ・お手入れに手間がかかる ・錆びやすい |
| セラミックコートフライパン | セラミック系のコーティング(PFOA・PFOS不使用) | ・フッ素不使用 ・カラーは白などが多くおしゃれ | ・コーティングに寿命がある |
| ステンレスフライパン | コーティングなし/ステンレス素材 | 頑丈・高温に強い・サーモスにもスチールフライパンがある | ・食材がくっつきやすい ・扱いにコツがいる |
鉄フライパンがおすすめな人は?
お手入れが必要なため、料理に十分な時間が取れる方におすすめです。
セラミックコーティングがおすすめな人は?
フッ素樹脂コーティングと同じように、少量の油でもこびりつきにくいです。
見た目もおしゃれなものが多いため、こだわりのある方におすすめです。


よくある質問(Q&A)


まとめ|サーモスのフライパンは、正しく使えば安全でコスパの良いフライパン
サーモスフライパンは、有害性が指摘されているPFOA・PFOSを使用しておらず、通常の調理温度で使う限りは安全性の高いフライパンです。
ただし、安全に使い続けるためには「正しい使い方」と「適切なタイミングでの買い替え」が欠かせません。
12年以上の販売経験から率直に言えば、サーモスは安全性と使いやすさ・価格のバランスがとても良いフライパンです。
軽くて焦げつきにくく、お手入れも簡単です。
忙しい毎日のなかで、安全面を気にしすぎずに使える安心感があります。
この記事が、フライパン選びのお役に立てれば幸いです。


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