鋳物ホーロー鍋ブランドの2台巨頭、ストウブとル・クルーゼの違いを解説します。
筆者はキッチン用品専門店で12年以上勤務していた、元販売員です。当時の店頭でも、同じように迷っているお客様がほとんどでした。どちらも名前は知っているけれど、何を比べればいいのかも分からない、という状態です。
先に結論をお伝えすると、ざっくり言えば次のとおりです。
- ストウブ:レストランのシェフにも選ばれている「プロの道具」
- ル・クルーゼ:色が豊富で、家庭的であたたかい雰囲気
細かい違いは、蓋のつくり・内側の加工・重さ・ごはんの炊きやすさ・お手入れなどにあります。ただ、店頭では値段で決める方はいませんでした。自分が納得したほうを、高くても選ばれていました。
この記事では、店頭でお客様にご案内していた内容も含め、「ざっくりした違い」から「細かい違い」へと比べていきます。読み終えるころには、あなたに合うのはどちらかが見えてくるはずです。
【結論】ストウブとル・クルーゼの違い|早見表

ストウブとル・クルーゼの比較表です。
| ストウブ | ル・クルーゼ | |
|---|---|---|
| ブランドの雰囲気 | プロ仕様・シック | 家庭的・色が豊富 |
| 蓋 | 平らな蓋の裏に突起「ピコ」「システラ」 | ドーム型の蓋・3つの突起「スチームポイント」で蒸気を調整 |
| 内側 | すべて黒(マットエマイユ) | 明るいサンドか黒を選べる |
| 重さ(18cm) | 2.78kg | 2.6kg(蓋は一般的な鋳物鍋の約1/3の重さ) |
| 容量(18cm) | 1.7L | 1.8L |
| 値段(18cm) | 28,600円 | 40,700円 |
| ごはん向けの鍋 | ラ・ココット de GOHAN | ココット・エブリィ |
| お手入れ | シーズニングを推奨 | 使いはじめのシーズニングは不要 |
| IH | 対応 | 対応 |
| 保証 | 国内正規品に生涯保証 | 国内正規品に生涯保証 |
| ギフトでのシーン | 男性へのプレゼント 料理にこだわりの強い方へ | 結婚・出産祝い 新築祝い |
ブランドの違い|「プロの道具」のストウブと「家庭的」なル・クルーゼ

それぞれのブランドイメージの違い、誕生の背景を解説します。
ストウブは、プロの料理人にも愛用する方が多いお鍋です。ル・クルーゼは料理番組で使われていたりして、家庭的なイメージが強いので、その雰囲気がお好きな方に選ばれています。
このざっくりとした違いだけでも、好みの違いが分かれるはずです。
ストウブ|シェフの声から生まれた鍋
ストウブは、1974年にフランスのアルザス地方で生まれました。
「ストウブは1974年に豊かな食の伝統が残る職人の街、フランス・アルザス地方で誕生しました。料理をよりおいしく仕上げたいというシェフの強い要望のため、フランシス・ストウブの手により…」
出典:ストウブは何がいい?選び方と使い方、おすすめ商品6選を紹介|ツヴィリング公式オンラインショップ
厚みがあって丈夫な点と、より料理を美味しくする蓋裏の機能性からも、レストランのシェフ達にも信頼され愛用されています。
筆者はストウブの工場見学でフランスを訪れたことがあり、その時にレストランで料理がストウブの器に入って出てきました。


フランスでは、本格的な料理店では必ずと言っていいほど、ストウブの製品が使われていました。
調理したものを、そのまま食卓に出せる美しさ。これもストウブがレストランで選ばれる理由のひとつかもしれません。
ル・クルーゼ|鋳物ホーロー鍋に初めて色をつけたブランド
ル・クルーゼは、1925年に北フランスの小さな村で生まれました。
「ル・クルーゼは、1925年に北フランスの小さな村「フレノワ・ル・グラン」で生まれました。」
出典:フランスの歴史と職人が生んだ、一生ものの価値とは?|ル・クルーゼ公式
古くから作られていた、鋳物ホーロー鍋に初めてカラーリングをほどこしたのがル・クルーゼです。美しく繊細なグラデーションは高い技術が必要で、職人の長年の経験と技の賜物です。
誕生から100年以上経った今でも、季節限定のカラーやキャラクターとのコラボも発売しており、指名買いされるほど人気があります。
ストウブとル・クルーゼの違い7つ

ここからは、細かい違いを7つに分けて見ていきます。
つくりや機能の違いなので、より使った時のイメージが湧きやすくなると思います。
違い①蓋のつくり|ストウブは「ピコ」、ル・クルーゼは「ドーム型」
いちばん大きな違いは、蓋です。
ストウブの蓋は平らで、裏側に「ピコ」「システラ」と呼ばれる小さな突起が並んでいます。

食材から出た水分が蓋の裏で水滴になり、ピコをつたって鍋の中に戻っていくしくみです。「システラ」はピコの進化版で、より多くの水分を集められるようになっています。

一方、ル・クルーゼの蓋はドーム型です。
さらに3箇所のスチームポイントと呼ばれる突起から、余分な蒸気が抜ける仕組みで、素材本来の旨みを引き出します。吹きこぼれもしにくく、安全性に配慮した設計です。
ストウブは「水分を鍋に戻す」、ル・クルーゼは「蒸気をコントロールする」。同じ煮込みでも、考え方が少し違います。
違い②内側の加工|ストウブは全部黒、ル・クルーゼは明るい色も選べる
鍋の内側の色も、見た目で分かる大きな違いです。
ストウブは、どの鍋を選んでも内側が黒です。「マット・エマイユ」という、黒くざらっとしたほうろう加工がされています。細かい凹凸に油がなじみやすく、食材が焦げ付きにくいのが特徴です。
ル・クルーゼは、内側を2種類から選べます。
- サンドホーロー(淡いベージュやホワイト):食材がよく見え、火加減や調味料を調整しやすい。表面はつるつる
- ブラックマットホーロー(黒):使い込むほど油がなじみ、こびりつきにくくなる。色素沈着しにくく、汚れが目立ちにくい。表面はざらざら
煮込みの色や焼き色を目で確かめながら作りたいなら、明るいサンド。焦げ付きにくさや汚れの目立ちにくさを重視するなら、黒という選び方です。
なお、「ストウブの黒い内側は体に悪いの?」という疑問は、こちらの記事で詳しく検証しています。

違い③重さ|本体はどちらも重い、蓋はル・クルーゼが軽い
店頭で持ち比べたお客様は、ほとんどの方が「どちらも重い」とおっしゃっていました。ただ、蓋だけを持つと、「ル・クルーゼの方が軽い」という感想が多かったです。
重さの比較
| サイズ | ストウブ | ル・クルーゼ |
|---|---|---|
| 16cm | 2.22kg | 2.1kg |
| 18cm | 2.78kg | 2.6kg |
| 20cm | 3.34kg | 3.1kg |
同じサイズなら、ストウブの方が0.12〜0.24kgほど重くなります。ただ、どちらも2kgを超えるので、本体はどちらも重い、というのが正直なところです。
ル・クルーゼは、調理中の旨みを損なわないよう、蓋のみを軽量化しています。一般的な鋳物ホーロー鍋と比べ、重さは約1/3です。
料理中に何度も蓋を開け閉めすることを考えると、蓋の軽さは毎日の使いやすさに影響してきます。毎日の料理を快適にしたい方や、手首に不安がある方は、ル・クルーゼがおすすめです。
違い④ごはん|ストウブは「GOHAN」、ル・クルーゼは「ココット・エブリィ」
どちらのブランドにも、ごはんを炊くのに向いた鍋があります。
ストウブ ココットde GOHAN
| サイズ | 容量 |
|---|---|
| Sサイズ | 直径12cm/0.73L/1合 |
| Mサイズ | 直径16cm/1.74L/2合 |
| Lサイズ | 直径20cm/3.0L/3〜5合 |
ル・クルーゼ ココット・エブリィ
| サイズ | 容量 |
|---|---|
| 18cm | 2L/3合 |
| 20cm | 2.8L/5合 |
定番のココット・ロンドやピコ・ココットでも、ごはんは炊けます。ごはん炊き専用鍋は、羽釜に近い形で対流が起こり、お米の芯までしっかり熱が伝わります。
筆者は、ストウブのラ・ココット de GOHANを使っていました。ストウブで炊いたごはんは、お米が一粒一粒たっていて、ツヤツヤの炊きあがりです。
一人暮らしで1〜2合を炊くなら、GOHANの16cmがちょうどいいサイズです。3合まで炊きたい方や、内フタで吹きこぼれを防ぎたい方は、ココット・エブリィがおすすめです。
違い⑤値段|同サイズではル・クルーゼの方が高い
同じサイズで比べると、ル・クルーゼの方が1万円ほど高くなります。
| サイズ | ストウブ | ル・クルーゼ | 差 |
|---|---|---|---|
| 16cm | 25,300円 | 35,200円 | 9,900円 |
| 18cm | 28,600円 | 40,700円 | 12,100円 |
| 20cm | 31,900円 | 44,000円 | 12,100円 |
ただ、店頭で値段を理由にストウブを選ぶ方は、正直いらっしゃいませんでした。
どちらも安い買い物ではありません。そのぶん、「長く使うなら、自分が納得したものを」と考える方が多かったです。ル・クルーゼの雰囲気が好きな方は、高くてもル・クルーゼを選ばれていました。
違い⑥サイズと容量|同じ直径でも、ル・クルーゼの方が少し多く入る
同じ直径でも、入る量は少し違います。
| サイズ | ストウブ | ル・クルーゼ |
|---|---|---|
| 16cm | 1.2L | 1.3L |
| 18cm | 1.7L | 1.8L |
| 20cm | 2.2L | 2.4L |
人数の目安は、どちらのブランドも16cmが1〜2人分、18cmが2〜3人分、20cmが2〜4人分です。
一人暮らしなら16〜18cmが基準になります。サイズの選び方は、こちらの記事でくわしく紹介しています。

違い⑦お手入れ・IH・食洗機・保証
毎日使うなら、お手入れの手間も大事なポイントです。
お手入れ
ストウブは、使い始めと、内側の艶がなくなってきたときに「シーズニング」が必要です。サラダ油か米油を内側に薄く塗り、ごく弱火で3〜4分温めるだけです。フチと蓋の裏に油を塗っておくと、サビ防止にもなります。
ル・クルーゼは、シーズニングは必要ありません。
IH・食洗機
どちらもIHに対応しています。ストウブのココットde GOHANはSサイズが直径12cmと小さいので、IHの機種によっては反応しない可能性があります。
食洗機はどちらも対応していますが、中性洗剤を含ませたスポンジでの手洗いを推奨しています。
保証
どちらも生涯保証がついています。
- ストウブ:国内正規品に「生涯保証」。正常な使い方で不具合が出た場合は、同じ製品と交換。修理は基本的に行っていない
- ル・クルーゼ:「LIFE TIME保証」。製造上の不良に限って適用。問い合わせは購入店へ。修理やメンテナンスは行っていない
どちらのブランドも、国内正規品には日本語の保証書がついています。並行輸入品は保証の対象外だったり、メーカーが対応できなかったりします。ル・クルーゼは、アウトレット品も保証の規定に当てはまらない場合があります。買うときは、国内正規品を扱うお店を選ぶと安心です。
ギフトならどっち?|結婚祝いはル・クルーゼ、男性へはストウブ

鋳物ホーロー鍋は、贈り物としても人気です。
店頭では、結婚祝いなどのギフトはル・クルーゼが圧倒的に多かったです。一方で、男性へのプレゼントはストウブを選ぶ方が多くいらっしゃいました。
ル・クルーゼの公式サイトでも、結婚祝いや出産祝い、引越し祝いなどのギフトに多く選ばれていると紹介されています。ル・クルーゼは誕生から100年以上の歴史のあるブランドです。鋳物ホーロー鍋の老舗で、ブランドの信頼性の高さから、指名買いもされています。
ストウブはそのほかにも、料理にこだわりの強い方にも人気のギフトでした。
迷ったら、贈る相手のキッチンや好みの雰囲気を思い浮かべてみてください。明るく華やかな雰囲気ならル・クルーゼ、シックで道具らしい雰囲気ならストウブが合うでしょう。
迷ったら|タイプ別「あなたはどっち?」

ここまでの違いを、タイプ別にまとめます。
ストウブが向いている人
- 煮込みや無水調理を作りたい
- 焦げ付きにくさを重視したい
- シックで、道具らしい雰囲気が好き
- 少しでも値段をおさえたい
- 男性へのプレゼントを探している
ル・クルーゼが向いている人
- 中の様子を見ながら料理したい(内側サンド)
- 色を楽しみたい、キッチンを明るくしたい
- 蓋の軽さや、お手入れのしやすさを重視したい
- 結婚祝いなどのギフトを探している
- 信頼性の高いブランドを使用したい
どちらにも当てはまって決められないときは、「自分はこっちが好き」という気持ちで決めてくださいね。気に入ったものほど、愛着が湧いて大切に長く使えます。
3つ目の選択肢|バーミキュラも気になる方へ

日本製のバーミキュラも、ストウブル・クルーゼと比較されることの多いブランドです。
バーミキュラは、カドミウムを使っていないことを公式に明記しており、色や安全性にこだわりたい方には、候補に入れてもいいかもしれません。
ストウブ・ル・クルーゼ・バーミキュラを含めた比較は、こちらの記事でまとめています。

ストウブとル・クルーゼについてよくある質問

まとめ|何を比べればいいか分からないなら、まずは「ブランドの雰囲気」で選んでいい

ストウブとル・クルーゼの違いを、店頭でご案内してきた内容も含め、解説しました。
ストウブは「プロの道具」、ル・クルーゼは「家庭的であたたかい雰囲気」があります。細かい違いは、蓋のつくりや重さ、値段の違いです。
どちらも長く使える鍋なので、最後は「こっちが好き」という気持ちを大事にしてみてください。この記事が、あなたにぴったりの鍋を選ぶ参考になれば嬉しいです。



